高くそびえる鼓楼を囲むように黒い木造家屋が並ぶカムの村。棚田と朝霧

Gaeml侗族Dong

歌と、木と、米の民。

Kamtopia

貴州、湖南、そして広西が出会う山々の奥へ。

カムの祭り衣装をまとったKamtopiaのアンバサダー。銀の冠、幾重にも重ねた銀の首飾り、光沢のある上着に重ねた彫りの入った二枚の襟飾り

案内役のアンバサダー

ようこそ、
Kamtopiaへ。

霧の中から、どうぞこちらへ。鼓楼へ、屋根のある橋へ、そしてカムの歌へとご案内します。

  1. 銀の冠縁には銀の房飾り。色とりどりの石がはめ込まれている。
  2. 首飾り手で引き延ばした銀の輪を、幾重にも重ねて。
  3. 襟飾り手彫りの文様に、鎖と小さな鈴を下げて。

カムに会いに

緑の山あいの谷に暮らす、350万の人々。釘を一本も使わずに建てた杉の村。屋根のある橋。太鼓を抱く塔。そして、書物ではなく歌に受け継がれてきた歴史。

2020年国勢調査

3,495,993

人のカムが中国で数えられた。その半数近くが貴州に暮らす。

15

の声調をもつカム語。開いた音節に9つ、詰まった音節に6つ。

0

本。伝統的な鼓楼に使われる釘の数。すべての梁は、ほぞ組みで組み合わされている。

UNESCO

2009

大歌が「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載される。

FAO GIAHS

2011

従江の稲・魚・鴨の田んぼが、世界農業遺産に認定される。

文字

1958

伝統的な文字をもたなかったカム語のために、ラテン文字の表記法がつくられる。

鼓楼

すべての村の、
心臓。

幾重にも重なる軒が、先細りになって尖塔へと続くカムの鼓楼

幾重もの軒

層の数はたいてい奇数。カムが建材とする杉の木のように、上へ行くほど細くなる。

高みに、太鼓

打ち鳴らして村人を呼び集める。話し合いのとき、危険が迫ったとき、祝いのとき。

四本の大柱

杉の幹が塔全体を支える。梁はほぞ組みで、柱にがっちりと組み込まれる。

中心に、囲炉裏

その下に開かれた広間で、長老たちが語り合い、もめごとが裁かれ、歌が教えられる。

鼓楼の内部を見上げる。組み合わさった杉の梁が、密な格子をなしている

釘は、一本も使わない。

カムの棟梁は設計図を使わない。すべての寸法は、独自の記号を刻んだ竹の物差しに記されている。そして梁と梁は、杉の枝のように組み合わさっていく。

黎平県の肇興では、五つの氏族が五つの鼓楼を建て、それに合わせて五つの屋根付きの橋を架けた。

風雨橋

屋根のある橋は、川の上の部屋になる。

カムの村では、屋根のある木造の橋で川を渡る。旅人の雨宿りの場であり、近所どうしの市場であり、若者たちの出会いの場でもある。彩色された梁から、もうひとつの名がついた。花橋。

穏やかな川の石積みの橋脚の上に架かる、塔のような屋根の楼閣を五つ備えた長い木造の屋根付き橋

程陽橋 · 広西、三江

77.76
メートル(全長)
5
基の塔状の楼閣
19
間の屋根付き回廊
12
年がかりの建設(1912〜1924年)

八つの村の長老50人が、お金、木材、穀物、労力を出し合って架けた。石の橋脚の上に、釘を一本も使わずに。

大歌 · 侗族大歌

Kgal Laox

ひとつの声。 やがて、ふたつ。 そして、村じゅうの声。

いくつもの声部。指揮者はいない。楽器もない。

鼓楼の前で、藍染めの祭り衣装と銀の首飾りを身につけ、声を合わせて歌うカムの女性たち

「米は体を養い、歌は心を養う。」

貴州のカムに伝わる言葉

歌い手は年齢ごとの合唱隊に分かれ、鼓楼で歌う。大歌は、蝉や鳥の声、流れる水の音をなぞる。師は弟子へ、ひとつひとつの声部を、何年もかけて伝えていく。

UNESCOはこれを「トン族の百科事典」と呼ぶ。村の歴史、自然についての知恵、そして年長者や隣人を敬う作法。そのすべてが記憶のなかに、ハーモニーのなかに保たれている。

日の出の山の斜面を、カムの村へと下っていく水を張った棚田 稲の株のあいだを泳ぐ鴨と、水面のすぐ下を泳ぐ鯉

稲。

魚。 カム語: bal

鴨。 カム語: bedl

ひとつの田んぼ。
三つの実り。

貴州の従江では毎年春、水を張った田んぼに魚が放たれ、そのあとに鴨が続く。魚と鴨は雑草や害虫を食べ、水をかき混ぜ、肥やしを与える。そして田んぼは、米と魚と鴨を返してくれる。

FAO · 世界農業遺産(GIAHS)

2011年から

トン族の稲・魚・鴨システム(従江県)

カムの食卓

四つの柱。
ひとつの長い食卓。

01

もち米

主食はもち米。香り高い土地の品種を、竹かごから手でつまんで食べる。

02

酸っぱい保存食

魚や肉、野菜を米と塩で漬け込み、酸っぱくなるまで寝かせる。漬けた魚は何年ももつ。

03

唐辛子

ほとんどの料理に唐辛子。生で、干して、つぶして、漬けて。

04

米の酒

家で醸し、客人に注ぐ。それも、客が門をくぐる前から。

青銅色と紫の金属のような光沢を帯びた、折りたたまれた藍染めの布と木槌

藍と糸

輝く布。

家で織り、藍で何度も何度も染め、金属のように光るまで木槌で叩く。

藍染めの上着と頭巾を身につけ、木の織機で布を織る年配のカムの女性

上着一枚に、ひと季節分の手仕事。糸を紡ぎ、織り、染め、叩き、母や祖母から受け継いだ文様で袖口と襟に刺繍をほどこす。

黒と白、藍と白の幾何学文様を手織りしたカムの錦を折りたたんだもの

糸を数えて織る錦。

菱形、ジグザグ、杉の木。家の織機で、糸を一本一本数えながら織り出す。十以上ある工程のなかで、最も難しい作業だ。カムの錦織は2008年から国家級無形文化遺産。このページを区切る帯も、その文様を借りている。

藍地に太陽と渦巻きの文様を刺繍した、背負い帯の飾り布

縫い取られた太陽。

背負い帯には、その家でいちばんの針仕事がほどこされる。太陽、渦巻き、鳥、花を、密なサテンステッチで。次の世代を包むために。

手仕事

手でつくる。
長く使う。

薄く打ち延ばした銀。釘を使わずに組んだ杉。糸より細く割いた竹。一本ずつ巻きつけた絹糸。

銀の襟飾りに文様を打ち出す銀細工職人の手
カムの銀飾り。重ねた首飾り、鎖と鈴を下げた彫りの入った襟飾り、髪飾りの櫛

银饰 · 銀

打ち、引き、彫る。

カムの銀細工師は、銀を叩いて板にし、引き延ばして線にし、小さなたがねで手ずから文様を打ち出す。重ねた首飾り、鎖と鈴を下げた襟飾り、櫛、かんざし。祭りの日には、それらをふんだんに身にまとう。

一年をめぐって

祭りと宴、
そして歓迎の歌。

カム語 · lix Gaeml

15の声調。
ありふれた文字で書く。

カム語はクラ・ダイ語族のカム・スイ語派に属し、スイ語、マオナン語、ムーラオ語と近い親戚にあたる。1958年につくられたアルファベットでは、各音節の最後の文字は音ではない。声調を表している。

Gaeml ← 声調を表す文字

開いた音節に、9つの声調

  1. -l 55 bal 魚
  2. -p 35 pap 灰色
  3. -c 212 bac 熊手
  4. -s 323 bas おば
  5. -t 13 qat 軽い
  6. -x 31 miax ナイフ
  7. -v 53 bav 葉
  8. -k 453 pak 壊れた
  9. -h 33 bah もみ殻

詰まった音節に、さらに6つ

-b, -d または -g で終わる音節には、さらに6つの声調がある。使う文字はそのうち6つの再利用で、響きも対になる開いた音節の声調に近い。違いは、短く切るか、長く伸ばすか。

  1. -l 短母音 bedl 鴨
  2. -p 短母音 sedp 七
  3. -c 短母音 medc アリ
  4. -s 長母音 bads 椀
  5. -t 長母音 —
  6. -x 長母音 bagx 白

歌を聴くなら

昔ながらの暮らしを守る村々。

カムの多くは、貴州、湖南、広西が出会うあたりに暮らしている。険しい谷と杉の森が広がる土地で、ところによってはカムの名を冠した州や県が治めている。

カムの暮らす地域 貴州、湖南、広西の境界地域の地図。強調表示:黔東南ミャオ族トン族自治州と、玉屏、新晃、芷江、靖州、通道、三江の各トン族自治県。 黔東南ミャオ族トン族自治州 · 黔东南苗族侗族自治州 玉屏トン族自治県 · 玉屏侗族自治县 新晃トン族自治県 · 新晃侗族自治县 芷江トン族自治県 · 芷江侗族自治县 靖州ミャオ族トン族自治県 · 靖州苗族侗族自治县 通道トン族自治県 · 通道侗族自治县 三江トン族自治県 · 三江侗族自治县 貴州 カム全体の47.2% 湖南 カム全体の24.8% 広西 カム全体の10.4% 玉屏 新晃 芷江 靖州 通道 三江 黔東南 貴陽 凱里 懐化 桂林 肇興 小黄 従江 程陽
  1. 01

    肇興

    貴州、黎平県

    カム最大級の村のひとつ。五つの氏族、五つの鼓楼、五つの花橋、五つの芝居舞台。

  2. 02

    程陽

    広西、三江県

    川沿いに並ぶ八つの村。それをつなぐのは、数ある風雨橋のなかでも最も名高い橋。

  3. 03

    従江

    貴州、黔東南

    棚田の広がる山あいの土地。いまも稲と魚と鴨が、同じ水を分かち合う。

  4. 04

    小黄

    貴州、従江県

    大歌の合唱で、中国じゅうに名を知られる村。

夜のカムの村。窓に明かりがともり、提灯に照らされた鼓楼が川面に映る

Kamtopia

地図のどこにもない場所。ともに生きるという、ひとつの暮らし方。歌のなかに、木のなかに、そして米のなかに。

カムの祭りの銀飾りを身につけ、ほほえむKamtopiaのアンバサダー

また会う日まで

お越しいただき、ありがとうございました。

次は祭りの季節に、あなたの声も連れてきてください。村の入り口では、歌って通らなければならないかもしれませんから。